ドローン規制強化の足取り〜今後の行方は

Pocket


2015年 本格的なドローン規制が施行

他の記事でも繰り返し述べていて、重複にはなりますが。基礎的なドローン規制の知識として。
2015年12月10日、航空法に無人航空機に対する規制項目が追加されました。
それ以前は完全に野放しだったわけではなく、空港周辺での飛行や飛行高度についての制限は2015年12月9日までの航空法の中に記載されており、ラジコン飛行機やヘリコプターなどに適用されていました。
航空法の条文を読めば規制の内容は分かりますし、空物ラジコンを扱うにあたり係る責任として、自身が扱う機器に係る法規やルールを熟知しておく必要があることは言うまでもありません。

2015年末の改正施行では、当初から航空法で定められていた空港周辺の物件設置制限空域や飛行高度制限に加えて、人口集中地区内での飛行の禁止と飛行の方法についても規制が設けられました。
禁止された場所や方法では、特定の条件を満たした上で国土交通省航空局に許認可申請を行い、発行された「無人航空機の飛行に係る許可・承認書」に拠って飛行させる制度が敷かれています。

大阪市都心部
 

法改正こそ無くても変化していくルール

航空法のドローンに関する項目は2019年まで改訂されることはありませんでしたが、2015年末から2019年秋までの間にドローンの飛行ルールは大幅に変わりました。

目視外飛行の承認基準が緩和

2018年2月ごろに目視外飛行の審査基準が改定され、機載カメラからのライブビュー映像により機外の周辺の監視が行え、目視監視者を配置し飛行状況や周囲の状況を監視し、操縦者に対して助言を行える体制を構築すればFPV飛行であれば、規定の自動操縦システムを有していなくても、あるいは自動操縦システムが純正で無くても承認が出る様になりました。
数あるドローン行政の施策の中で唯一評価できる内容だと思います。無論満点の評価ではありませんが。

当初、目視外飛行を行うためには、メーカー純正の自動操縦機能を有している必要がありました。
例を挙げるとDJIのシステムであるDJI GS Proなどです。
GS Proを使ったことがある人であればわかると思いますが、このシステムは飛行ルートのパスを引いて、その線上をドローンが自動で飛ぶという機能です。ウェイポイントを設定して、その場所で「〜をしなさい」と言う命令を出すこともできますが、ドローンが自ら考えて自律飛行させると言うシステムではありません。
エマージェンシーの際に各種センサーで得られた情報を元に離陸地点に帰還するフェールセーフモードの中のRetrn to Homeモードは通常飛行に使用するDJI GO 4でもできますので、DJI GS Proのみを自動操縦システムとして指定し、DJI GO 4のRetrn to Homeモードを自動操縦システムとして認めないと言う方針は、ナンセンスでしかありません。
一番の問題は「自律飛行」と「自動操縦」を、同じ物だと思っている人が少なくないことでしょうか。

ライブビュー画面

催し会場等の上空でに飛行に係る包括承認対象からの除外

目視外飛行の規制緩和と同時期に行われたのが、イベント会場上空及びその周辺での飛行の承認が包括許認可の対象から外され、飛行毎に個別の申請を行うことになりました。この審査基準の改定は、岐阜県大垣市でのドローン墜落事故が大きな切っ掛けとなり、これによりドローン空撮業界はイベント等の空撮大きな制約を受けてしまい、機会喪失や手続きの煩雑化など甚大な被害を被っています。

 

包括される飛行方法の制限

航空法第132条の2第5号から第10号(2019年9月18日法改正以前は第1号〜第6号)に書かれている飛行の方法に依らない飛行を行う場合に、飛行の承認を取るわけですが、一般的な飛行経路を特定しない包括許可承認書は人口集中地区での夜間飛行や目視外飛行など、禁止項目の複合は認めていません。
しかし、豊富な飛行経歴のある者がその証明を行え、追加の安全対策を行えば、人口集中地区での夜間飛行や目視外飛行、飛行経路特定した上での夜間目視外飛行の承認を得ることができていました。
2019年6月に行われた審査要項の改定では、人口集中地区内での夜間飛行は飛行毎の個別申請が必要となり、夜間の目視外飛行は承認項目から除外されました。

 

飛行計画登録義務化

2019年7月26日以降に発行された飛行許可・承認書により、無人航空機を飛行させる場合は、ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能/FISS)に飛行計画を登録することが義務化されました。
飛行に際し、一手間増えた事で空撮を行うドローン事業者からは非難轟々なシステムに違いありません。

 

2019年 航空法改正施行

2015年のドローン規制施行以降初の航空法改正により条文の追記が行われました。
酒気帯び操縦の禁止や飛行前確認実施の義務化など、無人航空機を飛行させるために遵守すべき項目を追加し、ドローン関連の事業者も国土交通省の立入検査の対象に拡大されました。
同時に罰則規定も改定され、酒精飲料や薬物の影響下による飛行を行なった場合、飛行場所によっては50万円以下の罰金または1年以下の懲役、立入検査の忌避や虚偽情報の提供は100万円以下の罰金など、より重い罪に問われる可能性もあります。

 

ドローンに無関係の者が航空法違反に問われる可能性

法改正以前、ドローン規制はドローンを扱う者のみを対象にしていましたが、2019年9月18日以降はドローンの操縦に関係無い者が航空法違反により処罰される可能性が出てきました。
現行航空法第134条の3 第3項には「何人も、みだりに無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある花火の打上げその他の行為で地上又は水上の人又は物件の安全を損なうものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。」と書かれており、国土交通省令(航空法施行規則第239条の4)では、飛行中の無人航空機を損傷させる恐れのある投擲行為や物件の発射、無人航空機の飛行を妨害する恐れのある電波の発射、遠隔操作や自動操縦を妨げる行為を禁止しています。

罰則規定も設けられており、無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を行ったものは30万円以下の罰金に処され。航空法以外にもドローン事業者が飛行させる無人航空機の飛行を妨害した場合は、威力業務妨害による告訴と併せて、民事での不法行為に基づく損害賠償責任を負うことにもなります。

 

今後の傾向

航空法によるドローン規制も行き着くところまで行ってしまった感がありますが、全てのドローンの飛行を把握したい日本政府は、アメリカで取られている制度と同じ様な無人航空機の登録義務化制度を、2021年度から施行する方向で調整を始めてしまいました。
また、機体情報の登録と併せて発行した機体番号を飛行中常時発信する機能を持たせることも検討しており。ドローンの産業振興を本当に考えているのか甚だ怪しい制度設計をしている様にしか思えません。
点検や測量など、大手企業が行う様な業種にばかり目を向けて法律や審査基準や機体性能基準を作っているので、草の根の空撮事業者やホビー利用のユーザーの方向を向いていない様に思います。
ドローン産業振興に向けたロードマップで、
Lv.1:目視内での操縦飛行
Lv.2:目視内飛行(自動・自律飛行)
Lv.3:無人地帯(山、海水域、河川、森林等)の上空での目視外飛行(補助者なし)
Lv.4:有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者なし)
で、今後Lv.4を目指すための法規制やルールを定めると行っていますが、実際に映像制作の分野ではLv.4による飛行は既に行われており、空撮事業者が使用するドローンの性能と操縦技術は、早い段階からLv.4に到達しているため、現状をLv.3だと言って国が定める方針からも大企業しか見ていないのは決定的です。

ちなみに、筆者が取得している無人航空機の飛行に係る許可・承認書は、Lv.4に対応した飛行が可能な内容で申請しています。

 

飛行の規制はある程度完成の域に
今後はドローンを特殊技能にしたい人たちが様々な制度を作り始める時期

航空法による飛行規制は、2019年の航空法改正施行により粗方完成の域に達した様に感じます。今後は、如何に飛んでいる無人航空機を国が認識するかを目的とした制度設計がなされる可能性が高く、既にその兆しは見えています。
また、ドローンの操縦を特殊技能にしようとしている人も少なくありません。本来はカメラ・写真と同じ様に、最低限の知識があれば誰でも使えるツールになるのが本来の姿だと思うのですけどね。
ドローンの場合は規制法が航空法なので、カメラの様にはいかないかもしれませんが。


筆者プロフィール

Pocket

自分だけのスケジュールで学べるのはエイトだけ

忙しいあなたでも、エイトを選ぶことで、自分だけのスケジュールで学ぶことができます。遠くまで移動したり、合宿をする必要はありません。仕事を休まなくても学べる環境が整っています。また、関西トップレベルの講習をお約束します。
2019年G20開催期間中の大阪において、大阪市長の行為許可のもとプロジェクトを行うなど多くの事例を持つメンバーが在籍。

今のあなたにぴったりな情報をお届けします。ぜひドローンスクール8(エイト)の無料カウンセリングへお越しください。あなたとお会いできる日を楽しみにしております。

今すぐ無料講座を予約する

無料講座の詳細を見る